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OCNさんに取材していただきました。

2016年03月21日

手話言語条例

手話の普及に向け、県が進める施策の方向性を示す「県手話推進計画」の素案に対するパブリックコメント(意見募集)に、過去最多となる2万4千件超の意見が寄せられた。生活上の不自由を訴える聴覚障害者らから切実な意見が殺到した形だが、肝心の手話で意見を提出する機会が限られていたため、手法に異議が噴出。計画について話し合う「手話言語普及推進協議会」を追加で開催する異例の展開になっている。

■切実な訴え
 手話推進計画は、県手話言語条例で策定が義務づけられている。条例は「手話は言語」との認識に立ち、2014年12月に県議会へ議員提案されて成立。昨年4月に施行された。県は昨年12月に計画の素案を取りまとめ、12月24日から1カ月間にわたりパブコメを実施していた。

 3月の県議会で報告された結果によると、意見の総件数は2万4767件(6757人、21団体)。これまでの県のパブコメで過去最多だった県動物愛護管理推進計画素案の4398件を大きく上回った。

 集まった意見には手話を使う機会や手話通訳の充実を求めるものが多い。「病院に手話通訳者を配置してほしい」「災害や電車の事故など緊急時の情報がすぐに入ってこない」-。切実な声が寄せられている。

■動画記録も
 総件数には数えられていないが、DVDなどの記録媒体で提出された意見も75件(47人)あった。ろう者らが手話による意見を動画で記録したもの。この扱いをめぐって2月の協議会が紛糾した。

 県が決めた意見の提出は、日本語による文章をメールやファクス、郵送で伝える手法が主体。手話通訳を通じてろう者と盲ろう者が意見を伝える会場の設置は計2日間に限られていた。県聴覚障害者連盟は、期間中にいつでも手話によって意見が出せるよう要望したが、受け入れ態勢の不備や時間的な制約を理由に県が踏み切れなかった経緯がある。

 協議会では動画の内容の詳細は報告されず、委員の有識者やろう者から「行政上の手続きをただ踏めばよいとなれば、当事者が置き去りになる」といった批判が相次いだ。

 折しも障害を理由とするサービスの拒否や制限を禁じる障害者差別解消法が4月に施行され、社会的障壁を取り除く「合理的配慮」が国や自治体に義務づけられるが、今回のケースは現実とのギャップに早くも直面した形だ。

■特性理解を
 手話を言語として日常的に使うろう者の立場で委員を務める同連盟の河原雅浩さん(55)は「『手話でなくても日本語の文章で伝えられる』という認識は、多くの健聴者が持っている誤解」と強調する。

 手話には独自の語彙(ごい)や文法体系があり、単に日本語を手や表情で変換したものではない。だが、ろう学校で口話法教育が推進され、手話の使用が制約された歴史的経緯もあった。河原さんは、ろう者にとっては手話が自然な表現法である実情への理解を訴える。「幼少時から聞こえない人の場合、健聴の子どもと同様に日本語を聞いて覚えることは難しい。日本語は外国語」

 委員の意見を踏まえ、県は動画で提出された意見を日本語に翻訳し、パブコメの意見と同等に扱う方針だ。計画は22日の追加協議会を経て4月に始まる見通しで、計画自体を手話で公表する準備も進めている。

 協議会副会長の小川喜道・神奈川工科大教授は「手話言語の特性を理解していない聴者優先の感覚に陥っていたことが要因の一つ。ろう者への理解という前提があって初めて、県民が手話を知り学ぶことにつながる」と指摘している。

■手話推進計画案の主な内容
(1)手話の普及
・手話講習やシンポジウムの開催、記念日の創設
・県民向けリーフレットや動画作成
(2)手話に関する教育、学習の振興
・児童、生徒向けの学習教材の作成
・教員向けの手話研修
(3)手話を使用しやすい環境整備
・県職員対象の手話講習などの機会拡充
・災害時などに手話で意思疎通できる環境整備
・手話通訳者の計画的な養成、派遣機会の拡充

■県手話言語条例のポイント
・ろう者とろう者以外の人が共生できる地域社会の実現を目指す
・県は手話の普及などを推進する責務を持ち、計画を策定、実施しなければならない
・県民は手話に対する理解を深めるよう努める
・事業者はろう者へのサービス提供や雇用で、手話の使用に関して配慮するよう努める



Posted by カフェくくる うるとらまん at 21:47│Comments(0)
 
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